クレーム対応の重要性とポジティブ表現の効果
クレーム対応にストレスを感じていませんか?
「またクレームか…」「どう対応すればいいんだろう」と、気が重くなることもあるでしょう。
でも、ちょっと待ってください。
クレームは決して「嫌なもの」だけではなく、対応の仕方次第で信頼関係を深めるチャンスにもなります。
実は、言葉を少し工夫するだけで、お客様の怒りが和らぎ、スムーズな対応につながることも多いんです。
本記事では、クレーム対応を前向きに変える「ポジティブな言い換えテクニック」を紹介します。
難しく考えなくても大丈夫。
すぐに使える簡単なフレーズばかりなので、今日から試してみてくださいね。
ポジティブな言い換えの基本ルール
クレーム対応では、言葉選びが相手の印象を大きく左右します。
そこで、ポジティブな言い換えを行うための基本ルールを3つ紹介します。
1. 否定形を肯定形に変える
「できません」「無理です」という言葉は、相手にストレートに否定感を与えます。
代わりに「〇〇なら可能です」と言い換えると、柔らかく伝わります。
例:
- ✖「それはできません」
→ ◎「〇〇の方法なら対応できます」
- ✖「今は無理です」
→ ◎「〇〇時以降なら可能です」
- ✖「対応できません」
→ ◎「△△の方法でご案内できます」
- ✖「変更はできません」
→ ◎「△△の範囲なら変更可能です」
- ✖「ご希望には沿えません」
→ ◎「△△の形でしたらご対応できます」
2. クッション言葉を活用する
クッション言葉とは、直接的な表現を和らげるフレーズです。
「恐れ入りますが」「申し訳ありませんが」「お手数ですが」などを活用すると、相手に柔らかい印象を与えられます。
例:
- ✖「ルールなのでダメです」
→ ◎「申し訳ありませんが、〇〇をお願いしています」
- ✖「その件はできません」
→ ◎「恐れ入りますが、別の方法をご案内いたします」
- ✖「再発行は無理です」
→ ◎「大変恐縮ですが、再発行は△△の場合のみ可能です」
- ✖「返品は受け付けていません」
→ ◎「恐れ入りますが、△△の商品に限り返品が可能です」
- ✖「受付時間を過ぎています」
→ ◎「恐れ入りますが、△△時までの受付となります」
3. 相手の気持ちに寄り添う
クレーム対応では、相手の気持ちを理解していることを伝えるのが大切です。
「申し訳ございません」だけでなく、「ご不便をおかけし申し訳ありません」と具体的に伝えると、より誠実な印象になります。
例:
- ✖「申し訳ございません」
→ ◎「ご不便をおかけし申し訳ございません」
- ✖「それはできません」
→ ◎「ご期待に添えず申し訳ありません」
- ✖「お時間をいただきます」
→ ◎「お待たせすることになり申し訳ございません」
- ✖「商品の在庫がありません」
→ ◎「ただいま品切れとなっております、ご迷惑をおかけし申し訳ありません」
- ✖「順番にご案内しています」
→ ◎「皆さま平等にご案内するため、順番にご対応させていただいております」
このように、少しの工夫でクレーム対応の印象は大きく変わります。
クレーム対応で使えるポジティブな言い換えフレーズ
ネガティブに伝わりがちな表現をポジティブに言い換えるだけで、お客様の怒りが和らぎ、より良い関係を築くことができます。
実際にクレーム対応で使えるポジティブな言い換えフレーズを紹介します。
ぜひ、実践してみてください。
1. 謝罪の言葉の言い換え
お詫びの言葉は大切ですが、ただ「申し訳ございません」と繰り返すだけでは、不満を増長させてしまうことも。
相手の気持ちに寄り添う言葉を加えると、誠意が伝わりやすくなります。
- ✖「申し訳ございません」
→ ◎「ご迷惑をおかけし申し訳ございません」
- ✖「それはできません」
→ ◎「ご期待に添えず申し訳ありません」
- ✖「間違えました」
→ ◎「私の説明が不足していました」
- ✖「確認不足でした」
→ ◎「十分に確認できておらず、申し訳ありません」
- ✖「手違いです」
→ ◎「行き違いがあったようで、申し訳ございません」
2. 否定的な表現を肯定的に言い換え
少しの言い換えで、柔らかく、前向きな表現にすることが可能です。
- ✖「それはできません」
→ ◎「〇〇の方法なら可能です」
- ✖「今は対応できません」
→ ◎「〇〇時以降でしたら対応可能です」
- ✖「その件は対応外です」
→ ◎「△△の範囲でしたら対応可能です」
- ✖「受付時間外です」
→ ◎「受付は〇〇時までとなっております」
- ✖「キャンセルできません」
→ ◎「△△の場合のみ、キャンセルが可能です」
3. ルールを伝えるときの言い換え
お客様から「なぜダメなの?」と聞かれたときに、「ルールなので」「決まりなので」と答えてしまうと、冷たく感じられることがあります。
相手が納得しやすい伝え方を意識しましょう。
- ✖「ルールなのでできません」
→ ◎「お客様皆さまに公平にご対応するため、〇〇とさせていただいております」
- ✖「規定で決まっています」
→ ◎「社内規定に基づき、〇〇とさせていただいております」
- ✖「それは規約違反です」
→ ◎「〇〇の観点から、△△をお願いしております」
- ✖「決まりですので」
→ ◎「〇〇のため、このようにお願いしております」
- ✖「マニュアル通りに対応しています」
→ ◎「多くの方にご利用いただいているため、〇〇の基準を設けております」
4. 待ち時間や対応時間の言い換え
お客様がクレームを入れるときは、感情的になりやすいものです。
「今すぐ対応してほしい」と言われたときに、「お待ちください」と言うだけでは不満が増してしまいます。
「ただ待つのではなく、〇〇している時間」ということを伝えると、安心感が生まれます。
- ✖「少々お待ちください」
→ ◎「ただいま確認しておりますので、少々お時間をいただけますでしょうか」
- ✖「すぐに対応できません」
→ ◎「〇〇分ほどお時間をいただければ、対応可能です」
- ✖「順番に対応しています」
→ ◎「〇〇の順でご案内しておりますので、もうしばらくお待ちください」
- ✖「時間がかかります」
→ ◎「〇〇分ほどのお時間をいただきます」
- ✖「担当者がいません」
→ ◎「担当者が△△時に戻りますので、その後ご対応いたします」
5. お客様の意見を受け止める言い換え
クレーム対応では、相手の話を受け止めることが重要です。
ただ「わかりました」と答えるよりも、共感の姿勢を示したり、意見を尊重していることを伝える言葉を選びましょう。
- ✖「わかりました」
→ ◎「おっしゃること、ごもっともです」
- ✖「確認します」
→ ◎「詳細を確認のうえ、改めてお伝えします」
- ✖「その件は対応しません」
→ ◎「貴重なご意見として、社内で共有させていただきます」
- ✖「できません」
→ ◎「ご要望に沿うのが難しい状況ですが、別の方法をご提案いたします」
- ✖「規約で決まっています」
→ ◎「大変恐縮ですが、規約上△△の対応となっております」
クレーム対応は、相手の気持ちを落ち着かせることが第一歩です。
そのためには、冷たく感じる言葉を避け、できるだけポジティブな言い換えをすることが重要になります。
クレーム対応がうまくなる3つの心構え
クレーム対応では、適切な言葉選びだけでなく、どんな姿勢で対応するかも重要です。
たとえ言い換えのテクニックを使ったとしても、態度や伝え方が冷たいと、相手の不満はさらに募ってしまいます。
ここでは、クレーム対応をスムーズに進めるための3つの心構えを紹介します。
1. 相手の感情を受け止める
クレームを言う人の多くは、「不満を解消したい」だけでなく、「自分の気持ちを理解してほしい」と思っています。
そのため、まずは相手の感情を受け止めることが大切です。
たとえば、お客様から「なんでこんなことになったんだ!」と強い口調で言われたとき、次のように返すと印象が変わります。
-
✖「規則なので仕方ありません」
→ ◎「ご不便をおかけし申し訳ありません。ご状況を詳しく伺ってもよろしいでしょうか?」 -
✖「こちらではどうしようもありません」
→ ◎「大変ご迷惑をおかけしました。できる限りの対応をさせていただきます」
相手の言葉を一度しっかり受け止め、「あなたの話を聞いています」という姿勢を見せることで、不満が和らぎやすくなります。
2. 共感を伝える
「相手の気持ちを理解しています」と伝えることで、クレーム対応の印象が大きく変わります。
ただし、適当な共感をすると逆効果になることもあるため、具体的な言葉を添えることがポイントです。
-
✖「そうですよね、大変ですよね」
→ ◎「〇〇の状況では、お困りになりますよね。ご不便をおかけし申し訳ありません」 -
✖「お気持ちはわかります」
→ ◎「私も同じ立場でしたら、〇〇と感じると思います」 -
✖「多くの方が同じことをおっしゃいます」
→ ◎「お客様の貴重なご意見を参考にさせていただきます」
共感の言葉があるだけで、「この人は味方だ」と感じてもらえる可能性が高くなります。
すると、クレーム対応もスムーズに進みやすくなります。
3. 代替案を提示する
クレーム対応では、「できません」「無理です」と伝えるだけでは不満が増してしまいます。
そのため、可能な範囲で代替案を提示することが大切です。
たとえば、お客様から「返品したい」と言われた場合、返品ができないルールであっても、次のように伝えることで納得感を持たせられます。
-
✖「返品はできません」
→ ◎「申し訳ありませんが、返品は承っておりません。ただ、〇〇の対応が可能ですので、いかがでしょうか?」 -
✖「交換はできません」
→ ◎「交換は難しいのですが、〇〇の方法で対応できるかと思います」 -
✖「こちらでは対応できません」
→ ◎「私の方では対応できないのですが、△△の窓口でしたらご案内が可能です」
代替案を提示することで、「全て拒否された」という印象を与えずに済みます。
お客様にとっても、次にどうすればよいかが明確になり、不満が軽減されやすくなります。